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November 27, 2009

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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Arduino: Open Source流で全ての家電をデザイン家電にする試み?

November 27, 2009

op-ed / commentary


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junichi ikeda

Linuxに典型的に見られるOpen Source 的発想で、コンピュータ基盤を開発しているイタリアのArduinoを紹介するWSJの記事。

Taking an Open-Source Approach to Hardware
【Wall Street Journal: November 27, 2009】

イタリア語だから、「アルドゥ・イイーノォ」という感じで発音すればいいのかな。

アメリカは今、Thanksgiving Holidayに入っていることもあって、こういうユルイ感じの記事が紹介されているのだろうけど、Open Source流のハードウェアという発想は、この間紹介した、“hackerspace”の動きとも関わるようで、なかなかどうして興味深い。

ちなみに、Thanksgiving Holidayは、日本でいえば大晦日のような感じの休みで、町中がお休みモードになる。実家に帰省して、家族皆、一族郎党で、七面鳥のローストを頂く日。

何が言いたいかというと、本当にアメリカが活動停止になる日。

繰り返しになるが、だから、このArduinoのような記事が掲載されているのだろう。そうでなければ、イタリアでの試みなど、普通はアメリカの新聞では紹介されないから。

そのArduinoだが、WSJの記事では、microcontrollerと紹介されているように、簡単な制御系の基盤で、それを使うことで、マイコン型家電のようなものを作っていくことができる。

Open Sourceの考えを採用しているので、ソフトウェアの部分もハードウェアの部分も公開されて任意に利用が可能になっている。

面白いのは、こうした動きがイタリアで起こっていること。

Linux同様、欧州のイタリアでOpen Sourceの動きが起きているわけで、どうして欧州でばかりこういう動きが起こるのか。なにか底流に流れているものがあるのではないかと想像してみたくなる。

次に気になるのは、デザインの国、イタリアでこうした動きが起こっていること。アレッシを引き合いに出すまでもなく、イタリアは、インダストリアル・デザインのメッカ。

もっとも、インダストリアル・デザインといっても、デジタル時代の今日では、形状と機能を表すような要請がされる場合は減っている。形状と機能を調和させる必然性が減っている以上、形状はむしろ意匠に近づく。

だから、Open Sourceといっても、本当にやりたいことは、Arduinoを利用して作られるものの外観の造形の部分なのかもしれない。

つまり、いわゆる「デザイン家電」といわれるものを、メーカーや工房に勤めることなく、簡単につくってみることができるような環境を整備するために、いわば共同利用できるマイコン心臓部、を用意したようなものなのだろう。

そうすることで、デザイナーや意匠家が活躍できる場所を増やしていこうとしている、と考えると納得できる。

もしそうだとすれば、これは、家電というものがもっぱらエンジニアの統括の下で制作されてきた状況に対するカウンターともいえる。日々使うものなのだから、その造形を自由に創造したいと思う人たちがいて、少しでもそう言う人たちが参入可能な状況を作っていく、ということなのかもしれない。ちょうど、ウェブが登場して、映像制作の敷居が下がって、従来とは異なる形の映像が制作され、手法が開発されていったように。

こういう動きを見ると、ウェブが定着したことで、ウェブの自由度の高さを経験した人たちによって、ウェブのみならずフィジカルな物理的存在に対しても、「とことん表現の自由度を高め、表現の可能性を追求しよう」という動きがデザインのレベルで生じているようで面白い。

ウェブの経験が、リアルの世界の経験の可能性広げる方向に働きかけている、という感じで。

どこかで『パターン、Wiki、XP』と重なるような動きのようにも思えてくる。

もっとも、「美」を愛するイタリア人は、全ての家電を「デザイン家電」にしたい欲望に駆られているだけ、ということなのかもしれないけれど。

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