FERMAT communications visionary

December 01, 2009

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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触れるように考える: Gary HamelとIDEOのPrototyping

December 01, 2009

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

マネジメントコンサルタントのGary Hamelが、ビジネスにおけるデザインの重要性を最近経験したことに基づきながら、複眼的に論じている。

Inspired Design is Essential — and All Too Rare
【Wall Street Journal: November 30, 2009】

Gay Hamelは、主にinnovation managementの分野で有名なコンサルタント。ポジショニング的には、Tom Petersの後継者的な存在。

西海岸的な、緩い、けれども創造的なライフスタイルがinnovationには大切!、という感じの、ノリの良さ、テンポの良さを、大事にするタイプのコンサルタント。

もちろん、ビジネスコンサルタントだから、一通り、財務や戦略などの知識やノウハウもわかった上で、でも、最後は、人の想像力=創造力でしょ?といって憚らないタイプ。

今回もデザインが大事だ、といっていて、彼の基準で言えば、次の四項目が重要だ、ということ。


Utterly unexpected: とにかく度肝を抜く、驚きを与える

Amazingly competent: 商品の機能や特性を体現した隙のなさ

Aesthetically exquisite: 美的に洗練されている

Conspicuously conscientious: 企業の誠実さが表現されている


この手の項目は、誰が書いてもあまり変わらないので、それゆえ、一種のライフスタイル的なアドバイスでもある。

Gary Hamelはこんな感じにデザインを称揚するので、以前からIDEOの動きにも注目をしている。

この記事でも、最後の方で、IDEOのCEOであるTim Brownの近著である“Change by Design”に触れている。

Gary Hamelのような、経験主義的な、実践主義的なコンサルタントは、現場のプロフェッショナルを尊敬するところがある。それは、そうした態度がそのまま彼自身にも跳ね返ってくるからなのだけど。Tim Brownを参照しているのも、彼が実際にデザインの実践者でありながら、Design Thinkingという考え方を主張しているから。

HamelがTim Brownの著書から引用した部分のうち、ああ、そうか、と思ったのは、次のところ:

By ‘building to think’ instead of ‘thinking about what to build,’ an organization can dramatically accelerate its pace of innovation.

「何をつくるか考える」 のではなく 「考えるためにつくれ」
それが、イノベーションのペースを劇的に高める。

*

この部分は、Tim BrownのDesign Thinkingの四段階の最後の段階である“prototyping”(試作品作り)のところを指しているのだけど、前にざっと読んだ時にはあまり印象に残っていなかった部分。

でも、要するに、「グダグダ言ってる暇あったら、手ぇ、動かせ!」 みたいなこと。

手を動かしながら、実際に試作品を作る過程で、様々なイメージやアイデアが、具体的なものとして結晶化していく、というところか。

よく、右脳、左脳、とかいって、理性と感性、数式と言語表現、のように、発想方法のバランスや組み替えが有効だ、ということが言われたりするけど、上のprototypingの考えでいけば、どちらにしても、「頭で考えている」に過ぎないことになる。

そうではなくて、「手」で考えろ、「触れて」考えろ、ということなのだろう。

あるいは、「手で触れているような感覚で思考せよ」ということなのかもしれない。

知り合いのデザイナーの人やアーティストの人を見ていても、確かにそうした「触覚志向=思考」で、モックアップを作りながら、考える、というか、よしあしの選択をしていく人はいる。

もちろん、デザイナーといっても、より全体構想を行うほうに頭が行く人もいる。このあたりは、個人差なのだろうけど。

それにしても、触れるように考える、というのは、なかなかに奥が深い。

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