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February 03, 2010

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

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Appleは十年経っても変わらず瑞々しい !?

February 03, 2010

op-ed / commentary


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junichi ikeda

Fast CompanyがAppleについて、ちょっと悪戯心に富んだ記事を用意している。

Quiz: Are These Comments About the 2001 iPod or 2010 iPad?
【Fast Company: February 2, 2010】

10年前のiPod発表時に寄せられた読者のコメントと、先日のiPad発表時に寄せられたコメントとをシャッフルして、さて、このコメントはどちらに寄せたものでしょうか?、とクイズ形式にしたもの。

サプライズがなくなるとつまらないから、詳細は伏せるけれど(だから、上の記事を実際に見て欲しいところ)、これを見ると、いかにAppleという会社に寄せられる期待が、10年前も今も変わらないか(だから、上のようなクイズが可能になる)、がわかる。

要するに、Appleのブランドイメージが、少なくともこの10年いかにぶれずに来たか、がよくわかる内容になっている。デザインや価格、あるいは、Jobsに寄せる期待と不安、は、10年前も今も変わらない。

だから、ある意味、「Appleがまた何かやってくれるんじゃないか?」というイベントに、数年単位で立ち会っているようなもの。オリンピックのような定番イベントのようなもの。

面白いのはAppleの場合、その定番イベントの主題は、きちんと新商品の提示になっていること。Windows(Microsoft)やPlay Station(Sony)のような、バージョンアップ概念とは異なる提案になっている。

バージョンアップがいわばスペックアップを中心にした単線的な発展経路であるとすれば、Appleの場合は、iPod → iPhone → iPad、というのは、似てるけど同一ではない、横展開の要素を含む、それがゆえに、文字どおり「変態(メタモルフォーゼ)」を経た「進化」のような進み方になる。

そして、Appleとしてのコア=DNAは同一のままある。少なくともそう見える。

これは、簡単なようでやはり難しい制御だと思う。

なぜなら、普通の会社のDNAというと社風とか社員気質のように、会社を動かす人間たちの方に求めるけれど、Appleの場合は、端的に商品がそのDNA自体を表現することになる。もちろん、Jobsという強固な同一性は維持されているわけだが(だからこそ、Jobsの健康問題がAppleの決定的なアキレス腱になる)。

個々の商品が、DNAの発言形態としての「表現型」として機能する。

そして、その「表現型」の連続性を確保するために、商品の外観であるデザインが前の商品の形状を継承しつつひねることで、変態としての様も維持している。

この一貫性は、多くの異なる商品を異なる事業部を通じてスクラップアンドビルトしていく企業では困難なことになる。

*

もう一つ面白いと思ったのは、このFast Companyによる記事自体、Web時代になったからこそ容易に実現できるものだ、ということ。

いわば、記事やコメントがデータとして蓄積されているからこそ、即座に行える。

Life logならぬCompany logがそこにはある。

Fast Companyの場合は、オンライン出版をしてきたから、過去10年の比較が容易にできた。そして、今、私たちがいる状況は、多くの企業がオリジナルのサイトを立ち上げ、規模の大小や労力のかけ方の違い、という程度の差はあれ、既にPublishingをしている世界だ。

だから、今回のFast Companyのような、10年前の自分たちのリソースを使った企画というのは、今後、多くの企業で可能になっていく。

その時、Appleのような連続性の担保された一貫性、つまり、目に見えてわかるその会社の歴史=物語が切り出せるかどうかが、人びとの記憶にその会社や商品が残るかどうか、に大きく関わることになるはずだ。

つまり、思いの外、このFast Companyの記事が触発してくれたことは、今後の企業コミュニケーションにおいて重要な示唆になっている。

Life logのようにCompany logやProduct logを考える。
そのために何をしていくか。

Web-centric時代の、ブランディングに関わる発想の中核になるように思う。

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