Google, energy marketerへ: Civilの水平展開でGoogle流のリアルワールドへの浸透始まる。

February 19, 2010

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

Googleが、The Federal Energy Regulatory Commission(連邦エネルギー規制委員会)の承認を受け、正式に、energy marketerとなった。

Google Cleared on Power Bid
【Wall Street Journal: February 18, 2010】

これにより、Googleはエネルギー(電力)の売買が可能になった。通常、energy marketerには、発電設備をもった事業者が申請するのだが、今回のGoogleのように大量のエネルギーを利用する企業については、大量購入したエネルギーを再販するために、上記の認可が必要になる。

WSJの記事にあるように、Googleが申請をした背景には二つの理由がある。一つは、自社のエネルギー利用の管理のため。主にデータセンターに利用されるエネルギーのマネジメント。Googleは今のところ発電設備も送電設備も所有していないと記されているが、今後はわからない。

もう一つの理由は、再生可能エネルギーへのアクセスをよくしていくこと。

なお、いまのところは、認可を得た結果Googleに配備されるエネルギー管理技術を(おそらくは)サービスとして売り出すことはしないし、再販を投機的に利用するつもりもないという。

先日発表されたブロードバンドサービスへの参入表明とあわせると、かつてのエンロンが想起されるが、そうしたことにはならない、と公表しているわけだ。

記事の最後にあるようにGoogleはPowerMeterというサービスで一般家庭の電力マネジメントサービスに、電力会社と協力して進出している。いわば、既存の電力サービス網を“hack”し、徐々にそのサービス網のあり方を変えていこうとしている。

携帯電話やガジェットにおいてしばしば「電池」の性能がスペック上の問題にされるように、電力は、ウェブの世界においては基礎中の基礎にあたるインフラだ。大規模データセンターによるCloud Computingを提供する予定のGoogleからすれば、電力の問題は社内の問題であると同時にユーザーの問題=社外の問題でもある。それをできるだけ円滑に管理しようと試みているわけだ。

記事中にあるutilitiesというのは、電気・ガス・水道、のような生活の基本インフラを指す。ここでは、電力が対象の話であったが、これらutilitiesの管理ネットワーク一般に対して、Googleが参入していくと言うこともあり得るだろう。

先日のエントリーで「CivilからSocialへ」というように、ウェブの世界ではGoogleが単なるインフラ的整備から人びとの関係性・社交性のオルタナティブな有り様を提案する方向に向かっていると論じた。この「CivilからSocialへ」の展開を、縦方向の、垂直方向の展開とすれば、このutilitiesへの参入は「Civil XからCivil Yへ」の展開であり、横方向、水平方向の展開と捉えることもできる。

utilitiesについては、公共料金規制などの管轄は、州や市などの地方政府の公益委員会になる。そのため、utilitiesのネットワークに関わるのであれば、Googleはそうした地方政府とのやりとりも増えていくことになる。それに伴って、今まではウェブという浮遊した存在の中でビジネスを行ってきたGoogleは徐々にリアルワールドの実務担当者との折衝も増えていく。そして、それはとりもなおさず、Google的なウェブ的な発想、思考様式が、少しずつウェブの外にもしみ出していくことを含意する。

はたしてGoogle流の伝道は首尾よく進むのだろうか。