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March 23, 2010

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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Google Broadbandの全米誘致合戦

March 23, 2010

op-ed / commentary


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junichi ikeda

GoogleがBroadbandサービスを始めることは前にも紹介したが、どの都市で始めるかという選択は、希望する都市を募った上で行われる。その希望表明の締め切りが今週金曜に迫っているため、全米で多くの中小都市がGoogleの目を引こうとアピール合戦に精を出している。

Hoping to Attract Google? Go Jump in the Lake
【New York Times: March 21, 2010】

どこの都市がエントリーしようとしているかは、上のNYTの記事を実際に見てもらえばいいが、Googleの名誉のために街の名前にGoogleをつけようとネーミングライツ提供のようなことを提案するところもあれば、わざわざPR映像を作って市長や議員の熱意を示したり、といった具合に、どの都市もGoogleの誘致に必死だ。

ただ、こういうところはとてもGoogle的だし、アメリカ的だ。

Google的というのは、Googleが構想を発表し、この指止まれ!式に、参加者を募っているところ。もちろんオークション方式ではないが、それでも、ある土台(=プラットフォーム)の上でできるだけ多くの人に参加してもらうことで全体のクオリティを高め、同時にその参加者の多さ自体が一種のパブリシティになっていく展開。これは、AdSense以来Googleが提供してきたサービスに似ている。参加が参加を呼ぶシステム。

Broadbandの配備については、先日FCCからNational Broadband Planとして政策が発表されている。

FCC's plan for broadband Internet access falls short
【Washington Post: March 21, 2010】

このプランでは、地上波デジタルテレビ移行後のアナログ周波数帯を活用した無線インターネットが強調され、有線ブロードバンドを提供する電話会社とケーブル会社との間で新たな競争、しかも光ファイバ敷設などの設備投資競争を促すようなスキームが想定されている。また、ブロードバンドを従来の電話に代わるユニバーサルサービスと位置づけ、電話のように公共サービスとして利用者が負担可能な(=affordable)料金で利用できるような体制を整えようとしている。

ただ、政策の青図はできあがっても、それが実際に稼働するまでには時間がかかる。連邦議会で法案審議も必要になるし、そうなれば当然電話会社やケーブル会社からの反対のロビイングも行われる。法が成立してもアメリカの場合、それを裁判所に持ち込めば少なくとも施行を遅らせることができる。テレビ局からきちんと周波数を回収することができるのか、という問題も生じうる。

そういう中で、民間企業、この場合はGoogleがとりあえずやれるところから始めてしまう。これがとてもアメリカ的なところ。そして、そうした民間企業の動きの方に、連邦政府よりも先に飛びついてしまう地方政府の動きもとてもアメリカ的。

NYTが紹介する誘致合戦はたわいもないといえばたわいもないことだが、それでも、シリコンバレーの会社=Googleがミネソタやカンザスのような中西部の田舎町に出かけていってブロードバンド事業を行う。ウェブであれば全米といわず世界中にサービスを提供している会社が、具体的な都市に降り立ってそこで地域性に制約された事業に着手する、というのもいろいろと考えさせられる。事業なのかイベントなのかよくわからない、けれども参加者は高揚する、というのは、publicの性格のあるビジネスを行うにはやはり重要な要素のように思える。

どの街にGoogleが降り立つのは、発表を楽しみにしたい。

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