FERMAT communications visionary

March 25, 2010

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

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ウェブ時代のインフラは崩壊せずに途絶する。

March 25, 2010

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

前のエントリーで伝えたGoogleのアクションの続報。実際にGoogleが中国のサイトを閉めて、香港のサイトに移って以後の様子を伝える記事。

Google Braces for Fallout in China
【Wall Street Journal: March 24, 2010】

Google Faces Fallout as China Reacts to Site Shift【New York Times: March 23, 2010】

Leaping the Great Firewall of China
【Wall Street Journal: March 24, 2010】

正確に言うと、中国国内にいる人がGoogle.cnにアクセスしようとすると、Google.com.hkという香港のサイトにリダイレクトするようになっている。こうすることで、Googleは自ら中国のcensorship rule(検閲ルール)に従うことを回避している。

そのため、香港のGoogleサイトについては中国からアクセスしても検閲は従来通り行われるようだが、その検閲はGoogle自身によって行われたのではなく、中国当局によるものになる。結果的に、広く世界に対して検閲censorshipの存在を知らしめることになっている。

念のため記しておくが、一国のルールをどう定めるかは当該国政府に委ねられているし、そうした主権の行使は国際法的に認められている。だから、当該国のルールに従えないと判断した企業があって、当該国がルールを変更せずその国内企業に対してルールの遵守を求めた場合、その企業はその国から撤退せざるを得ない。Googleの今回の行動はそうした手順に従ったもの。

前のエントリーでも触れたように、Google以外の他の企業はどうするのか、ということはもちろんある。このあたりについては、NYTがリベラル紙らしく、Googleの立場を支持する論説を出している。

Google and China
【New York Times: March 23, 2010】

ただ、国外に退去するという選択肢を取れない、当該国本籍の企業はどうするのかという問題はあって、現実的にはGoogleの撤退の対応に追われる中国の企業は当たり前のことながら多い。

たとえば、従来サイト機能の一部としてGoogleの検索エンジンを実装していた中国のサイト群は、一斉にそのエンジンを中国の検閲ルールに準じたものに変更しないといけない。

もっとも、そうした動きは、結果的に、どれだけGoogleが中国のウェブサイト群に浸透していたかもわかろうというものだが。

*

さて、ここで一段目線を上げて、ここで何が起こっているのかに目を向けてみたい。

ここで生じているのは、ウェブはソフトウェアの集積体でしかないため、撤収というと、ある日突然、消えるかのごとく目の前のものがなくなってしまうということ。これが物理的な制約を伴う事業活動をしている企業であれば、たとえば、店舗の看板を代えるとか視覚的にわかりやすい情報も生じるし、そうした作業のためには物理的に相応な時間も要する。

だが、ウェブの撤収は、突然、瞬間的に行われてしまう。

しばしば社会的インフラの停止は、建造物の崩壊、あるいは地震、というもので表現されてきたが、ウェブが中心になった世界では、そうした破壊のイメージは伴わず静かに行われる。崩壊ではなく、突然、途絶する。

きっと、建造物の崩壊ではなく、むしろ、電話が突然切れてツー音だけが流れる状態が、これからのインフラ停止の比喩となるのだろう。

ウェブ時代のインフラは崩壊せずに途絶する。

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