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June 29, 2010

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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雑誌Rolling Stoneの復活

June 29, 2010

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

ハードな政治問題について果敢な分析記事(時に告発記事)を立て続けに扱うことで、雑誌Rolling Stoneの人気が復活しているという。

A Magazine Back on a Roll
【New York Times: June 27, 2010】

60年代から70年代にかけてのカウンターカルチャー全盛時に、当時の若者の不満を代弁した同誌だが、その後の80年代、90年代にかけては往年の輝きを失っていた。とりわけ90年代のビル・クリントン時代には、クリントン自身がベビーブーマー世代ということもあり、いわばカウンターカルチャー自体がメインストリームの中にとけ込んでしまい、すっかりヌルくなってしまっていた。

そうした状況は、911とその後のブッシュ時代にひっくり返された。再び政治の時代になり、再びリベラルが巨悪を暴くというフレームが復活した。そうした時代環境の中でRolling Stoneは再び注目を集めるようになっている。

実際、上の記事にあるように、アフガンや金融危機については告発に近い形のprovocative(議論喚起的)な記事を続々と掲載している。Matt Taibbiというジャーナリストに、Goldman Sachsに関する政府との関わり、あるいは、NYとDCの繋がりについては、挑戦的な記事を書かせていた。

こうした編集方針もあって、週刊誌が低迷している時代にあって、発行部数を伸ばすまでに至っているという。どうやら、隔週誌という形態も、中身のある分析記事を掲載し、かつ、その記事が文字通りprovocativeな状況を生み出すのに十分な「タメ」の時間を作っているようだ。隔週誌が好調というのはVanity Fairにも当てはまっているとのこと。

中身がある分析記事を記せば読者はついてくる、といえばそれまでだが、実際はそれほど簡単ではない。アメリカにおいて政治的な話題がクリティカルになっていること、個々の話題が2年ごとに直接的に選挙の争点にもなりうること、話題の流通はウェブを通じてあっという間に広まること。こうした状況の中で、タイムリーに、しかし、読者に訴える記事を書いていく。編集者もジャーナリストも相応のリスクを覚悟していることは間違いないと思う。

その一方で、記事として伝えられる中身の深刻さだけでなく、それらが、読ませる記事になっていることも確認しておくべきだろう。Rolling StoneにしてもVanity Fairにしても、件の政治的な記事を載せながらも、より通俗的な、ゴシップ的な記事も同時に扱っている。そういう読書環境の中で、読み応えのある文章で、分析的記事を扱う。ある意味で文芸ジャーナリズムに近いことをしている。もちろん、扇情的な挿絵込みの記事なので、決して上品とはいいきれないが(特にRolling Stone)、しかし、その分力はある。

議論を着火させるという点でRolling StoneやVanity Fairの動きはウェブ時代だからこそ注目する意味があると思う。

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