FERMAT communications visionary

December 25, 2010

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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Googleがチェルシーにオフィスを構えるワケ

December 25, 2010

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

GoogleがマンハッタンのチェルシーにNYオフィスを移したとのこと。

Google Sets Business Focus in Chelsea
【Wall Street Journal: December 23, 2010】

NYオフィス自体は2000年からあるものの、徐々に規模を拡大し、今回の引越しでは社員数は2000人という。

チェルシーへの引越しは、ウォール街とマジソン・アベニューへのアクセスを良くすることが目的。基本的にはビジネス市場(orエンタプライズ市場)でのビジネスの拡大を目指しているようで、ウォール街については企業システム(≒金融システム)、マジソン・アベニューについては、Double Click案件のディスプレイ広告の連携を図ることを目的にしているようだ。

今までGoogleは、ユーザーの利便性を高めることを主要なゴールとするコンシューマ向け市場で優位を保ってきたわけだが、世の中の経済活動の全てがユーザーと直接やり取りできるわけではない。むしろ、幾重にも仲介者がいるのが普通だ。その場合、ビジネス市場のようにB2Bが中心になる。要するにあれこれ既存の業界のルールを勘案しながらビジネスを進めていくことになる。

そして、そのようなB2Bでの商談を行うにはNYはやはり便利だ。ミッドタウンには多くの企業の本社やエグゼクティブが集中していて、いわゆるトップどうしの交渉が可能だからだ。特に今、Googleは、ウェブ技術=ITを様々なビジネスに埋め込むことを試みようとしている(エネルギー分野など)。そのような会話のためにもNYのオペレーションは重要になる。

加えて、Web 2.0以後はソフトウェア開発がウェブ企業の中核になったため、プログラマーといいアイデアと当座の資金の調達ができさえすれば、実は場所に拘る必要はない。上の記事でも触れているが、FoursquareのようにNYでスタートしたウェブ企業もだんだん目立つようになってきた。いうまでもなく、Foursquareのようなピンポイントの位置情報提示サービスは、人口密集地でかつ商業集積地の方が利用の幅が広がりやすい。つまり、アプリの開発にはその開発のアイデアを与えるような「現実」の存在が必要で、それは都市の性格や特徴にも依存するということだ。

そういう意味で、NYだからこそ開発できるアプリやサービスもあるということだ。GoogleのNYオフィス拡充もそのようなことを踏まえてのことと思える。

とはいえ、ギャラリーが集まり、NYのアートシーンを牽引する場所の一つであるチェルシーへ引っ越すのだから、そうした領域への拡充も考えて欲しいところ。デジタル本のプロジェクトがどうやら一息つけそうなのだから、次は、アートにGoogleが関わるということがあっても面白いだろう。ちょうど、ジャレド・コーエンとともにGoogle Ideaを始めたように。Googleももはや大企業だからやむを得ないのかもしれないが、仲介業者との調整という作業の傍らで、彼らの常識を全く反故にするような、新しい方法の提示をするところにこそ、Googleらしさがあるように思うからだ。

それにしても、チェルシーか。いい場所を選んだものだ。

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