FERMAT communications visionary

January 19, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

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Visual Story-tellingによる企業コミュニケーションの時代

January 19, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

10周年となったWikipediaを祝う次のビデオはとても良くできている。

The State Of Wikipedia (Video + Infographic)
【TechCrunch: January 18, 2011】

昨日のFacebookのエントリーとも少しばかり関わると思うのだが、最近の、この手のプレゼン映像の特徴はいきなり主題を見せていくところにある。ナレーターなる存在がいない。多分、この点が日本の映像表現と大分テイストが異なるところだと思う。

つまり、情報の提供者(プレゼンテーター)と情報の受容者(私たち視聴者もしくはユーザー)がダイレクトに繋がっている感じが重視されている。間に、両者を仲介役をするような解説者=ナレーターは存在しない。

そのかわり、この映像もそうだが、全体として巨大なキャンバスに全ての情報が予め盛られていて、それらの情報を端(=スタート)から順番にそのキャンバスをなめていくような感じで映像のシークエンスが与えられる。そして、その全体を見終わったところで、たいていはカメラが引く感じ=ズームアウトして、その全体像が示されるような構成となる。

そうやって、複雑な情報を一個ずつリニアな流れで示しながら、平面=キャンバスに書かれた全体像を俯瞰視点で想起させることで、全体を納得させるような終わり方をする。コンパクトだが非常に良くまとまったプレゼンテーションだ。(このWikipediaのプレゼン映像を作ったJESS3という会社は、ダイアグラム的イメージを活用した映像制作が得意なようだ。)

こうした作り方は、Visual Strory-tellingといっていいものだろう。あくまでも中心は視覚的なイメージの連続でそこにその解説のナレーションが被せられる。そして、そのナレーションはあくまでも線形な話し方=ストーリーテリングとなっている。もしくは、ナラティブとなっているでもいいと思う。

そして、このYouTubeの仕様から、この映像だけに集中したいと思えば、フレーミングを画面最大にまで拡大すれば、この映像が動いていることだけに意識を集中できる。

さらに、その画面拡大の操作が、こうした情報を視聴しようとしている人自身の「意思で」「選択」したというスイッチにもなる。つまり、一度、自分からその画面に近づいた、ということを意識させる動作でもある。

このあたりの、情報との直接だが段階を経た接触の仕方、というのは、インタラクションによって多情報を扱うウェブの受容状況から出発した発想で、多分、テレビや映画からスタートした映像作りでは発想しにくいものなのではないかと思う。

なんにせよ、情報の提供者とダイレクトに繋がる感じの醸成が、Visual Strory-tellingでは重要になる。こうした要素は、企業コミュニケーションの現場では今後は重要になることだろう。

そうしたダイレクト感は、たとえば、例のおせち事件について謝罪したGrouponのCEOの映像にも見て取れる。

Groupon CEO Andrew Mason Sorry For Osechi Snafu: “We Really Messed Up”
【TechCrunch: January 17, 2011】

直接語りかける形で、一種のビデオメールのような作りになっている。こちらは固定カメラによる実写に過ぎないが、Andrew Masonの語り方は、とても参考になる。

件のおせち事件について、おせちのことを知らない他国の人々に対してもわかる形で紹介し、その点については謝罪しつつ、今回の事件はGrouponにとっても彼らの企業目標(ミッション)にもとるもので遺憾だったことを表明しつつ、彼らのミッションを再度強調する形で締めくくる。

Grouponによらず、Web 2.0以後のウェブ企業は基本的にユーザーの能動的参加がビジネス展開上は不可欠だから、ユーザーとの信頼関係の調整には気を使わなないではいられない。そうしたビジネスの特徴がよく現れた映像だと思う。

最初に紹介したWikipediaの映像にせよ、このGrouponの映像にせよ、コミュニケーションの直接性をどう担保するか、そのための「語り」をどう調整するか、はウェブがコミュニケーションのプラットフォームになる中で対応しないではいられないトーン&マナーの問題だと思う。

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