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January 21, 2011

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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Eric SchmidtのCEO降板とGoogleの行方

January 21, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

GoogleのCEOがEric Schmidtから創業者の一人であるLarry Pageへと交代することが発表された。来る4月からPage体制へ移行する予定だという。

Shake-Up at Google as Co-Founder Takes Over
【New York Times: January 20, 2011】

Google's Page to Replace Schmidt as CEO
【Wall Street Journal: January 20, 2011】

Schmidtによる説明は以下で読める。

An Update from the Chairman
【January 20, 2011】

Googleは長らくSchmidt、Page、そしてもう一人の創業者であるSergey Brinによるトロイカ体制で経営が行われてきた。今回のPageのCEO引継ぎは、もっぱら経営判断をスピードアップさせるためのものだという。つまり、CEOとしてPageが日常の経営そのもの携わることになる。

PageのCEO就任後は、BrinはGoogleの戦略商品担当として、Googleの商品の戦略開発を行う。

Schmidtについては、明記にはないものの、上のSchmidtのブログ中では” As Executive Chairman..."とあることから、おそらくは日本でいうところの会長職のようなことを行うように思われる。つまり、日常業務の意思決定には直接関わらないが、Googleという会社への相談役であり、Googleと外部社会との関わりの方に軸足を動かすように思われる。

いずれにしても、BrinやSchmidtの役割、ならびに、Googleの組織改革の有無、等については続報を待ちたい。

ということで、以下は、以上の情報からの、私個人の憶測的見通し。

Pageについては、自身の創業会社のCEOになるわけで、当然、Schmidtとは異なり、他社での経営経験はない。SchmidtはGoogleに来る前は、NovelのCEOを務めていた。アントレプレナーだから自分の会社しか経験していない、というのは当たり前といえば当たり前のことだが、これがプラスに働くか、マイナスに働くか、は今後を見るしかない。どちらのケースも過去にはある。たとえば、Yahoo! については創業者が経営を引き継いでから戦略がちぐはぐしたということもある。

それから、Googleの株式所有については、IPO時にPageとBrinが経営意思の決定権を確保できるよう、マネジメント・ステイクとファイナンシャル・ステイクを分ける形の株式(Class AとClass B)を発行した。つまり、今までは、トロイカ体制といっても、それはあくまでもGoogleの企業経営の意思決定の場の話であって、ボードのレベルでは、PageとBrinは二人あわせて株主としての決定に影響をもっていたともいえる。

アメリカ企業におけるボードの最大の役割はCEOを雇うことなので、その意味では、ボードとしての判断として、今回のSchmidtのCEO降板、という事態になったのかもしれない。この場合は、トロイカ体制に不協和音が生じたため、という解釈もできる。

その一方で、Schmidt自身が、Googleよりもより大きいことをしたいと思ってきているのではないか、ということも想定できる。

具体的には、アメリカ連邦政府で何かするのではないか、ということだ。

Schmidtはオバマ大統領が大統領候補の頃から支持を表明し、大統領当選後もアドバイザーとしてオバマ政権の近くにいた。また、最近であれば、Jared Cohen (Google Idea)とともに、情報技術、具体的にはソーシャルメディアの可能性について、アメリカの著名な国際関係誌であるForeign Affairsに寄稿している。つまり、Schmidt自身の情報技術に対する関心も、一つの企業のレベルを超えて、より広範に、より公共的なものに移っているように思われる。

だとすれば、Executive ChairmanとしてGoogleにしばらく残った後、連邦政府の何らかの役職に就くことも大いに考えられる。あるいは、何らかのファウンデーションの要職に就くこともありえる。その場合も、PageやBrinと喧嘩別れでもしていない限り、Googleにとってもプラスに働くものだろう。既に、Google自体が十分公共的な存在であるし、また、Googleの事業領域がより公共的な事業であるエネルギー関係にも広がろうとしているからだ。

あるいは、Foreign Affairsの寄稿にもあるとおり、各国政府がインターネットに積極的に関わるようになることで、ウェブのフラグメンテーション(断片化)も進んでいる。その断片化をいかに抑えるかは、アメリカ国務省の外交方針としての「インターネットの自由」とも関わる。あるいは、かつて飛行機の登場によって制空権が重視され空軍が新設されたように、ウェブの浸透はCyber Warを予感させ、第五軍としてのサイバー軍をも創設しそうな勢いにある。つまり、外交と軍事の場でも、インターネットを熟知し、インターネットの関係者にツーカーで話ができる人材は重要になる。そういう意味では、Schmidtが文字通り、外交大使を務めるような事態が起こっても不思議ではない。

いずれにしても、以上は私の憶測だ。

しかし、一つはっきりしていることは、Schmidtだけでなく、先日発表されたSteve Jobsの治療のための経営現場からの一時離脱を含めて、2000年代のIT/ウェブ業界を支えた名経営者が後ろに退き、若い世代が経営の前面に立とうとしていることだ。ある意味で、2010年代のウェブはここから始まることになるといってもいいのだろう。

Googleからの今後の続報に注目したい。

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