FERMAT communications visionary

January 27, 2011

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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SundanceとKickstarterのコラボが開く映画製作の可能性

January 27, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

インディーズ映画最大の映画祭であるSundanceがKickstarterとコラボで、インディーズ映画の製作支援を行っていくと発表した。

Sundance Kickstarts Audience Connections
【New York Times: January 26, 2011】

Sundance & Kickstarter Collaborate to Get Filmmakers Funded
【Mashable: January 26, 2011】

Sundance Institute Teams With Kickstarter to Fund Filmmakers
【Fact Company: January 26, 2011】

サンダンスのリリースはここ。

Sundance Institute Launches New Program to Connect Artists with Audiences

Kickstarterは、ウェブ上でのファンドレイジングを可能とするサイトで、企画実現のための資金を広くウェブで募るサイトで、アメリカでは注目を集めている。

Sundanceは今まで自分たちの映画祭に関わった人達のアラムナイ(英語だと「卒業生」とか「OB・OG」の意味)のネットワークへ働きかけ、Kickstarterへの参加を促す。

要するに、Sundance系のアーティストがKickstarterを通じてファンドレイジングを行えるようにする。そうして、実際に作品を製作する機会を増やすことを目指す。

Kickstarterの側のメリットは、インディーズ最大の映画祭であるSundanceというブランド名を使ってファンドレイジングを呼びかけることで、Kickstarterにおけるディールの成立数の増加、ならびに、ディールの成功確率を上げる。

Kickstarterは、成功したファンドレイジングの手数料が彼らの売上になるため、ファンドレイジングが成功すればするほどよい。また、Sundanceというインディーズの支援に繋がる活動は同社自身のイメージの強化にも繋がる。

ということで、互いにwin-winの関係を築くことができる。

(なお、Facebookもアーティストのプレゼンテーションの部分を中心に協力する。)

既にSundanceには、Kickstarterを活用して製作された映画もエントリーされている。たとえば、次のNYTの記事はそうやって製作された"The Woods"という映画のことを伝えている。

For Web-Financed Film Projects, a Curtain Rises
【New York Times: July 7, 2010】


今回の、Sundance+Kickstarterのコラボが興味深いのは、こうした動きは、Sundanceを、演劇におけるオフ(orオフオフ)ブロードウェイのような存在に引き上げる可能性があるのではないかという点だ。

インディーズ最大といっても、アメリカの場合、やはりハリウッドの存在は大きい。独立系のプロデューサーが製作の中心になってきているものの、それも、ハリウッドメジャーとの契約による買い上げが最終的な製作資金に影響する。直接アドバンスで受け取ることもあるだろうし、メジャーとの契約が担保になる場合もあるだろう。

そうした状況に対して、異なる経路での資金調達の方法を開く、というのがKickstarterを活用するポイントだ。

また、オフ・ブロードウェイと言ったのは、ブロードウェイがロングランとなる演劇を提供する場であるのに対して、オフ・ブロードウェイはむしろイキのいい新人の作品、あるいは、役者の発掘、という要素を持っていて、ブロードウェイとの間で一種の役割分担が起こっていることを踏まえてのことだ。むしろ、新しい何かはSundanceから生まれるというポジションを確立することができるかもしれない。

さらにいえば、映画祭のようなイベントの位置づけも変わるのかもしれない。Facebookが参加していることも考えれば、たとえば、YouTube上で、ある作品のパイロット版を流し、その作品の完成のための資金を得たり、あるいは、その資金を得るための事実の一つとして、たとえば世界視聴者ボーティングのようなこともできるのかもしれない。このような作品ならこれくらいの金額を集めることは可能だ、というような経験値と積むことで、パイロット版の製作にあたりをつけることもできるのかもしれない。

これは、さすがに理想的すぎるシナリオかもしれないが、しかし、このような動きで、映画製作の幅が広がることもあるだろう。その結果、映画祭自体の位置づけも、完成品の品評会から、むしろ、完成に向けたチーム編成をする場に変わるのかもしれない。

そのような可能性を開く機会として、今回の動きを捉えることもできるのだろう。プロジェクトの結果生まれる第一作がどのようなものになるのか、気にかけておきたい。

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