FERMAT communications visionary

January 28, 2011

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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LinkedIn、IPOの準備へ

January 28, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

ビジネスマン向けのSNSサービスであるLinkedInが、株式上場に向けてSEC(証券取引委員会)に資料を提出したという。

LinkedIn Files For IPO
【Tech Forbes: January 27, 2011】

LinkedIn Files For IPO
【Huffington Post: January 27, 2011】

リーマン・ショック後冷え込んでいたウェブ企業のIPOだが、このLinkedInの上場計画で、再燃するのではないか、というのが少なくとも投資銀行周辺の期待のようだ。

LinkedInの他に、FacebookやZyngaの上場にも期待が寄せられてる。

前回のITバブルの時も、2004年夏のGoogleの上場でテクノロジー企業株の売買に弾みについたのは確かなので、前回と同じく、3年あまり経ったところで、再度ブームを作りたい、というのは、わからない話でもない。

とはいえ、LinkedInのIPOについては、気になるところがないでもない。

LinkedInは、ビジネスの関係性を作ることにほぼ特化したソーシャル・ネットワークで、Facebook以上に顕名であり、実名であることが意味をもつサービスだ。

つまり、LinkedInの場合、そこに記された各人のパーソナルデータの秘匿性の高さもさることながら、相互に築きあげてきた関係性、つまり、LinkedInの中で日々更新されるソーシャル・グラフ自身、一つの貴重な、秘匿性の高い情報であると見ることもできる。

そのような情報の塊を持つ企業が上場することで、不特定多数の株主によって所有されることの含意、が気になるからだ。

そして、そのような秘匿性の高いユーザー情報を持つ、という点は、Web 2.0以後のソフトウェアに特化した企業に概ね共通する特徴でもあると思うからだ。ユーザーがサービスを利用することで始めて価値をもつサービスがほとんどだ。

多分、そのような性格をもったサービスで最初に大々的な注目を集めたのがYouTubeだと思うのだが、ここは、Googleに買収されることで、上述のIPOに伴う疑問は直接語られる必要がなくなった。

感覚的には、今まで未上場だった警備会社が上場するのに近い感じだろうか。

ある人の日常的で私的と思われる部分の維持に関与してしまっている会社をどのようにして信じ、どのようにしてその信頼が維持されると思うのか、というのが多分、ここでなんとなく気になっている疑問だと思う。

そして、このあたりの対処のしかたが、アングロサクソンってちょっと違うかも、と思わせることでもある。

多分、上のような疑問をもったら、たとえば、日本であれば、その会社の公共性の程度を事前に見極めて、ユーザーの情報の扱いについて、株主からの何らかの圧力が生じないようなルールなりガイダンスなりを法律にするところから始まるように思える。

一方、アングロサクソンでは、そういうことからは入らず、まずはとにかく始めてしまって、何かまずいことが生じたら、そこで対処方法を考えようとすると捉えていいるように思う。SECは証券取引の公正性の担保が中心だから、それ以外のところから何かルールメイキングが必要だ、という声が上がるのかもしれない。

一言付け加えておくと、上のような問題意識を示したのは、個人情報が大事だ、ということを言いたいわけでなく(確かに大事は大事だが)、むしろ、そのような懸念に対する処し方が、具体化されたところで対処すればいいとアメリカ(あるいはアングロサクソン)では考えられているであろうことと、それで十分何とかなるだろうという漠然とした確信があるように思えることだ。

今後続くであろうWeb 2.0以後のウェブ企業の上場については、このような点から留意しておきたい。

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