FERMAT communications visionary

February 28, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

print


  tweet


Twitter人気が示唆する10年代の新しい金融取引の可能性

February 28, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

J.P.モルガンがファンドを通じて、Twitterへの出資=株式取得を検討中との報道。

J.P. Morgan Fund in Talks to Take Twitter Stake
【Wall Street Journal: February 28, 2011】

件のファンドは、先日伝えられていた以下のもの。

J.P. Morgan Plans New-Media Fund
【Wall Street Journal: February 14, 2011】

基本的には、ソーシャルやデジタルと冠したサービスを提供するウェブ企業を中心構成されるファンドということのようだ。Groupon やZyngaも対象となっている。

Zynga's Talks With Investors Value Gaming Concern at Over $7 Billion
【Wall Street Journal: February 14, 2011】

Twitterについては、むしろ、テックバブルの再来ということで、しばらく前から注目を集めていた。

Twitter as Tech Bubble Barometer
【Wall Street Journal: February 10, 2011】

Twitterの評価額が上がり続けているのがバブル化の予兆ではないか、ということ。

冷静に考えれば、年初にあったゴールドマンによるFacebookへのファンドを通じた出資がSECの規制に引っかかりそうであり(未上場企業が500以上の株主をもった場合、実質的に上場≒公開企業と同じものと見なす、という規制)、後続の投資家が、またゴールドマンと同業のJ.P.モルガンが、Facebookの次に位置する企業はどこか、と探すと、筆頭がTwitterで、次点にGroupon やZyngaが浮上する、ということなのだろう。TwitterやGroupon については、Google等から買収のオファーがあるにもかかわらず、それを受け入れないでいるのは、こうした、未上場株のレベルでの取引が、ウェブ企業の周辺では局所的に盛り上がっているから、ということなのだろう。同時に、ファンドで一度アンブレラを作り、取引情報を秘匿することで、仲介者としてのファンド≒投資銀行が、出資先企業に対しても、投資家に対しても情報的に優位に立つことを考えてのことだと思われる。

少し話はずれるが、こうした投資銀行(≒ファンド)と未上場株取引の興隆は、もしかしたら、世界の株式市場が互いに買収の対象になっていることとも関係しているのかもしれない。

先日発表されたように、ドイツの証券市場であるBörseが,アメリカの中核的証券市場であるNYSE(New York Stock Exchange)を買収する方向にあるようだ。

Germans in Talks to Buy Big Board
【Wall Street Journal: February 10, 2011】

German Börse in Talks to Buy the Big Board
【New York Times: February 9, 2011】

つまり、ニューヨークにおける証券取引で、ドイツの意向が反映されるような可能性も今後はありえる。ドイツは、リーマンショック以前から、ヘッジファンドを規制しようと主張してきたこともあり、全般的に野放図な金融取引のあり方に懐疑的なスタンスをとっている。たとえば、それはドイツが大陸欧州における製造業の中心だから、ということも影響していると思う。

そして、アメリカ国内においても、Wall Street vs Main Street と言われるように、ウォール街の金融産業は、製造業等の実業から不当に利益を得ている、あるいは、倫理に反する利益の上げ方をしていると非難されることは多い。製造業が中心となる地域が欧州とアメリカ国内で結託した場合、ウォール街(+ロンドンのシティ)の動きが牽制されるような事態も生まれなくはない。

となると、上場先の株式市場の制約を受けずに、未公開株のレベルで売買が秘密裏に行われるのは、ウォール街からしてみれば一種の防衛策になる、というでもある。もっとも、既にFacebookの取引について、規制当局=SECは疑問に感じているようなので、そうそう続けられるものではないかもしれないが。

いずれにしても、金融産業の過去20年間ほどの「イノベーション」とは、実質規制をいかにしてかわしながら、新しい取引形態を築くか、という点に焦点があたっていたといっていいだろう(一連の金融工学商品がそのいい例)。その意味で、ここのところの、ゴールドマンやJ.P.モルガンの動きも、そのような視点で捉えてみてもいいように思う。

場合によると、2010年代に特徴的な金融取引のあり方が、既に現れ始めているのかもしれない。

blog categories

all categories...

magazine / web
articles

more...

books

more...

information

FERMATは、コミュニケーションという社会の基底を与える領域の変化の徴候に照準しながら、未来のビジョンを描くことで、新たな何か=“X”、の誕生を促します。

more...