FERMAT communications visionary

April 07, 2011

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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テレビ化に向かうYouTubeの意図

April 07, 2011

op-ed / commentary


author
junichi ikeda

YouTubeが、テレビに模したチャンネル概念を中心に、サイトを再構成する計画が浮上してきているようだ。

YouTube Recasts for New Viewers
【Wall Street Journal: April 6, 2011】

有料のプレミアムチャンネルも用意する予定で、このWSJのレポートによれば、YouTubeの再構成(リニューアル)は、今年中にはスタートする見込みとのこと。

ユーザーのアクセス数では先行者優位性から頭一つ抜け出た位置にあったYouTubeだが、ここのところ立て続けに起こっている、NetFlixやAmazonの映像・音楽コンテントでの新サービスの提供合戦の中で、単にユーザーからの投稿だけでは早晩アクセス数を誇れなくなると考えてのことだろう。

なによりも、視聴者(=消費者)だけでなく、コンテントの制作者まで含めて、映像交換プラットフォームという「エコシステム」を構築していると考えるGoogle/YouTubeからすれば、制作者側にも映像を制作し投稿する動機付けと、一定の報酬が得られる仕組みを作ることは急務だと捉えいるのだと思う。そのため、プレミアムチャンネルのような形の、オリジナルの映像コンテントの提供にも力を入れようとしているのだろう。

この、コンテントへのシフトは、この手の映像配信プラットフォームであれば必ず一度は通過する過程なので、むしろ気になるのは、その過程をGoogleはどう乗り切るのかということだ(過去、Yahoo!やMySpaceなどがそうしたコンテントシフト=メディア化をして、むしろ、ウェブとしては失速していることがあるため)。

たとえば、チャンネル概念を採用するのは、多くの利用者の中で映像体験といえばテレビ、という通念があるからだろう。また、テレビ受像機の方に一種のセットトップボックスのような機械(Google TVやApple TV等)を接続して、テレビモニターにインターネット経由の映像を映し出すことも試みられていることも増えている。

つまり、テレビ視聴体験の間に直接ウェブ的なものが割り込みをかけることが徐々に日常化してきていることの表れでもあるだろう。

とはいえ、ここで思い出しておきたいのは、YouTubeはもともと映像投稿サイトとして、つまり、映像を扱うソーシャル・ネットワークの一つとしてスタートしたという事実だ。最近では、もっぱら「映像」配信に注目が集まり、しかも、映像投稿が、ブログや他のソーシャルネットワークサービスに比べれば、熟練を要するものであるため、むしろセミプロユースのものになってしまった観があるが、もともとは間口の広いものとしてスタートしていたということだ。

そのことを踏まえれば、仮に「チャンネル」を一時は重視する方向に向かったとしても、それを出発点にすることで再度、映像を通じたユーザーのコミュニティ、というよりもクラスター、を順次、その都度創り上げていくところに力を入れてくるように思われる。

つまり、YouTubeのテレビ化は、ステップとして、将来の映像中心型のソーシャル・ネットワークを目指したものであるのだろう。FacebookやAmazonとは異なるパスを通りながらのソーシャル化といってもいいのだろう。

年内に一体、どのようなリニューアルを試みてくるのだろうか。

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