FERMAT communications visionary

February 20, 2012

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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連邦議会、放送波のオークションを視野に入れ始める

February 20, 2012

op-ed / commentary


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junichi ikeda

アメリカ連邦議会で放送波のオークションが検討されているという。

Congress to Sell Public Airwaves to Pay Benefits
【New York Times: February 16, 2012】

狙いは、メディア政策の方針が変わったからというような原理的なものではなく、単純に、給与支払税のカットによって税収が低下するにもかかわらず、足下の不況で長く続いている失業者手当の支払いのための財源を確保するため。

逆に、そのような財源確保という大義があるため、共和党、民主党の両党が合意、というか妥協できる案として浮上してきているという。

予定ではオークションによって250億ドルが調達できる見込みで、これを350億ドルといわれる失業保険の財源とする。

そのようにすることで、放送波として割り当てられた周波数帯をモバイルインターネット用に利用する案が出てきているようだ。当然、ITや通信関係の企業が関わろうとしている。それによって景気浮揚の効果もあると見込まれている。

もっとも、そのようなインターネットによる経済浮揚策として夢を語るのは主には民主党関係者ばかりで、共和党側からは、これはあくまでも財源確保によって、これ以上経済を悪くしない緩和策でしかないという声も聞こえているようだ。

また、当然、既存の放送事業者は反対を表明していて、少なくとも件の立法が連邦議会で通過した暁に、具体的な周波数の選定やオークションの実務を取り仕切るFCCに対して制約を付け加えるために、留保事項を法案に付け加えようとロビイングに走っているという。

実を言うと、この記事に書かれた報道はNYTでしか今のところ確認できていない。そういういう意味では、件の法案がそもそも不成立に終わる可能性もある。そう思うと、メディアコングロマリットの本社が集まるNYだからこそ、半分は観測記事的に書かれた可能もなくはない。そういうところは、この記事の冒頭で“a generational shift in the country’s media landscape”、つまり、「アメリカのメディアの景観における世代的な転回」と本件が形容されているところからも見て取れる。

ということで、実際に法律が通過するまでは何ともいえないところがある。しかし、大統領選のある年に、有権者の反感を買うような政策は取り入れにくく、逆に言うと有権者受けが良い政策を選択したい、という方向が、共和党、民主党に限らず政治家が求める方向であるとすると「財源を確保する」という大義はなかなか捨ておけないものと思われる。

もちろん、実際に放送波がオークションされ、そればモバイルインターネットとして利用されるとなると、スマフォやタブレットの意味合いは全く変わってくるし、ここのところ映像に力を入れているGoogle (YouTube)やAmazonにとっては願ったりかなったりのことだろう。彼ら自身が、オークションに参加することは当然ありえることだろう。あるいは、上場を経た後のFacebookも関心を示すのは間違いないだろう。

となると、確かに、NYTが形容したように、「テレビからインターネットへ」という「(メディア技術の)世代的変化」を、アメリカのメディア業界にもたらすきっかけになるような法案になるのかもしれない。

とはいえ、繰り返しになるが、今のところ、本件はNYTでしか見かけない。まずは、続報に注意をしておくことにしたい。

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