FERMAT communications visionary

February 27, 2012

op-ed / commentary


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junichi ikeda

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コロンビアとスタンフォードのメディアイノベーションプロジェクト

February 27, 2012

op-ed / commentary


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junichi ikeda

コロンビア大学のジャーナリズムスクールと、スタンフォード大学のエンジニアリングスクールが共同して、メディア分野のイノベーションを研究するthe David and Helen Gurley Brown Institute for Media Innovation.を設立する。

Take That, Cornell! Stanford and Columbia Partner (in Manhattan and the Valley) for Media Innovation
【Wired Epicenter: January 31, 2012】

コロンビア・ジャーナリズムスクールのリリースによれば、両校に3000万ドルの研究基金を拠出したのはHelen Gurley Brown女史。彼女は雑誌『コスモポリタン』の編集長であり作家でもある。ふるっているのは、彼女の夫のDavid Brown氏がスタンフォードとコロンビア・ジャーナリズムスクールの両校の卒業生であること。このDavid Brown氏はスピルバーグらとともに『ドライビング・ミス・デイジー』等の映画の製作にも関わっていたという。

この提携により、コロンビアのJスクールはシリコンバレーに足がかりを得ることができるし、スタンフォードはNYでの拠点を作ることができる。何よりも、西海岸と東海岸のコラボレーションが実現する。

それにしても、この記事を見かけた時、コロンビア大学には、ジャーナリズムスクールのあるモーニングサイトハイツキャンパス内に工学部も擁しているのに、学内ではなくスタンフォードにパートナーを選んだのはなぜ?と思ったのだが、要するに、プロジェクトの資金提供者であるBrown女史の意向が西海岸と東海岸の接続にあったということなのだろう。スポンサーの意向は強い、ともいえるし、そのようないささか恣意的なスポンサーの意向があればこそ、学外との交流も始まる、と好意的に解釈することもできるだろう。

実際、留学時にJスクールの講演や講義にも顔を出したが、ビジネススクールやロースクールと比べると設備や環境はどうしても見劣りした。もちろん、プレスは書いてなんぼのもの、という気概があったのも確かだった。そこにこのようなプロジェクトが立ち上がる事自体、ジャーナリズムとテクノロジーの接続が、当のジャーナリズム自身の存亡に関わることだという認識があるからだろう。それをBrown女史のように、ジャーナリズムとして直接的に想起される新聞やテレビの出身ではなく、雑誌ジャーナリズム、つまりいわゆる「文芸」ジャーナリズムの出身者が水先案内人になるところがとてもNYらしい。ぎりぎりのところでまだスノッブな精神が残っているから、と捉えたい。

もちろん、このようなプロジェクトで、ジャーナリズムとテクノロジーの抱える問題が全て解決するなどとは思わないが、しかし、このように交流のための土台を作ろうとする意思は注目に値すると思う。

ちなみに、英語の場合、mediaという言葉はしばしばjournalismとほぼ同義として使われる。このあたりはカタカナの「メディア」とは若干ニュアンスが異なる。Mediaの原義である「媒介」が「人と人、社会と人を結ぶコミュニケーション=ジャーナリズム」の意味で使われていると捉えればいい。だから、NYはメディア都市というのは、NYはジャーナリズム都市というのに近い。なお、ドラマやスポーツなどの娯楽部分についてはentertainmentと呼ばれることが多く、こちらはもっぱらハリウッドのイメージだ。

ともあれ、このような動きが生じることはまずは歓迎すべきだろう。少しでも東海岸と西海岸の距離を縮めることに貢献することに期待したい。

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