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モバイル未来大陸アフリカ

アフリカでのモバイルの使われ方が興味深い。携帯の通話時間が一種の「通貨」として利用されているという。

Airtime is money
【Economist: January 19, 2013】

プリペイドとして買われた通過時間がその対価がいわば交換レートとして機能して、売買の際の通貨として使われている。背景には、政府当局がモバイルマネーの発行を銀行に許可していないからのようで、結果的に、換金性のある「エアタイム(通話時間点数)」が利用されている。

つまり、ポイントないしはマイレージのように使われているということになる。お金が基本的に紙幣を介さずにデータで扱われるようになったため、物々交換ならぬデータ/データ交換が可能になった。

経済学の教科書に確か、紙幣=銀行券は銀行に持ち寄れば同価値の金と交換できる、という約束のもとでまずは流通していた、という話があったと思う。それと同じように、なんでもないデータでも、それがしかるべき措置を経れば実際に経済的価値、すなわち通常マネーに転換できると利用者が信じられれば流通する。裏返すと、このEconomistが扱っているアフリカ諸国では、エアタイムに一定の恒常的な需要があり(もっといえば希少だと思われており)、そのエアタイムを第三者が受け取ってくれると思えるから使える手段といえる。

もちろん、通貨は発行量や流通量をきちんとモニターしておかないと近い将来に何が起こるかわからない(これはいわゆるポイント制のポイントも一緒のこと)。あるいは、記事中にもあるように、エアタイムをマネーロンダリングの手段として使う道もあるのだろう。だから、遠からずそのような方向の動きも出てくるのだと思う。

とはいえ、まずは、アフリカという地で、データの流通の仕方がかなり自由に試みられてしまっている、というのは面白い。建築家のレム・コールハースがハーバード・デザインスクールで行った都市研究で、アフリカのラゴスを取り上げたものがあったが、あのケースでも、通常先進諸国で想定しているのとは異なる人びとの集積や都市の外観が産み出されることが指摘されていた。同様のことが、より自由度が高いデータの世界で起こっていると思ってよいのだろう。アフリカにおけるモバイルの使われ方には、異なる種類の未来が体現されているように思える。いつも驚かされる。

author: junichi ikeda

CONCEPT

FERMATは、コミュニケーションという社会の基底を与える領域の変化の徴候に照準しながら、未来のビジョンを描くことで、新たな何か=“X”、の誕生を促します。