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JJエイブラムズ、スターウォーズ新作の監督に

ディズニーがルーカスフィルムを購入して以来、2015年に上映予定のスターウォーズの続編=エピソード7を誰が監督するかに注目が集まっていたが、ようやくJJエイブラムズが行うことが決定したようだ。

J.J. Abrams to Direct Next ‘Star Wars’ Movie
【New York Times: January 24, 2013】

J.J. Abrams to Direct New 'Star Wars': Report
【Rolling Stone: January 24, 2013】

スターウォーズの続編の製作が決定した直後から監督候補の一人としてエイブラムズの名は挙がっていた。しかし、当のエイブラムズ自身は、その可能性を公式に否定していた。なぜなら、彼にとってスターウォーズは特撮の凄さに驚いた最初の映画であり、言うまでもなくお気に入りの一つだった。そのため、続編が作られるなら、それは一人のファンとして、鑑賞を楽しみにしたい、だから監督はできない、というものだった。

とはいえ、周囲からの期待は高く、結局、彼が登板することとなった。

エイブラムズについては拙著『デザインするテクノロジー』(青土社)の中で詳しく論じているので、関心がある人はそちらも見て欲しいが、世代的にはスピルバーグやルーカスによるニューハリウッドの映画を幼少の時に経験した世代の一人であり、彼の根底にはスターウォーズやジョーズなどの影響が見られる。というよりも、スピルバーグやルーカスに対するオマージュを隠そうとしない。その意味で彼がエピソード7をどれだけ正気のままで(笑)制作できるかが気になるところだ。

それにしても、ハリウッドにおけるエイブラムズの位置づけはすっかり高位安定状態に入ったといってよいのだろう。先日も、ドーピング事件の発覚で一転して英雄の地位から転落したランス・アームストロングの伝記映画の監督を担当することが発表されていた。彼の制作会社であるバッド・ロボットは、スリーピーホローズのテレビドラマ化も担当することになった。

エイブラムズと彼の制作集団であるBad Robotの作風は、過去の作品の引用やオマージュを多用する、ベタにポストモダン的なものだ。それは、スタートレックやミッション・インポッシブルなどの過去作の「リメイク」ないし「続編」を担当し、成功を収めていることからもわかる(スタートレックについては近々第二作も公開される)。

エイブラムズ本人がかつて楽しんだ作品の雰囲気やプロットに対しては徹底的に尊重しながら、彼なりの現代的なアレンジをそこに加えてくる。良くも悪くも、コンテントの接触が当たり前になってしまった世代以降の作風と言えるだろう。

ハリウッドは映画製作から始まり、テレビの登場に対してテレビ制作会社を設立し、映像製作の中心となった。そうしてメジャーと呼ばれる地位を築いた後は、もっぱら製作資金の提供という金融機能を提供する企業体に変わっていった。その一方で、周辺にプロデューサーを中心にした製作会社が生まれた。そうした製作会社の中で力をつけ配給機能にまで乗り出しメジャーの一角を占めようとしたのが、スピルバーグが仲間の二人と立ち上げたドリームワークスだった。

しかし、現在は、デジタルとウェブの時代だ。映画の配給もフィルムを介さずにフルデジタルで行われる。あるいは、NetFlixやAmazonのように、少しずつだがウェブ上で新作のドラマなどを配信する企業も登場している。そのような環境下では、エイブラムズの率いるBad Robotのような集団が、その機動力をもって上手く立ち回れる時代になるのかもしれない。もちろん、ディズニーやワーナーのようなスタジオの資金力は一朝一夕には消えない。むしろ、ディズニーはピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、と立て続けに買収を進めることで、従来ならば映画の外側にあったコンテントを映画の内部に取り込むことで、自らが映画の外側に向かおうとしている(このあたりのことも『デザインするテクノロジー』に記している)。

こうした映像接触の変動期において、エイブラムズが果たす役割は、もしかしたらスピルバーグやルーカスが担った役割に近いものとなるのかもしれない。その意味では、エイブラムズの進む方向そのものに、彼らに対するオマージュが込められているといってよいのだろう。

何はともあれ、スターウォーズエピソード7の製作・公開を楽しみに待ちたい。

author: junichi ikeda

CONCEPT

FERMATは、コミュニケーションという社会の基底を与える領域の変化の徴候に照準しながら、未来のビジョンを描くことで、新たな何か=“X”、の誕生を促します。